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G8リソース・ブック『サバイバル・キット 国際保健とG8』

はじめに

: なぜG8に取り組むのか〜G8諸国の市民として〜

第2部

: G8は保健に関してどんな約束をしてきたのか

おわりに

: G8に関する市民のInstitutional Memory をつくるために

資料編

第3部:G8とHIV/AIDS・国際保健ガイドブック

4.保健を主要議題にするための取り組み

  1. 概要
  2. 2008年洞爺湖サミットの経験
  3. 評価

1概要

2000年のG8九州・沖縄サミット以来、感染症はG8における地球規模課題の主要議題の一つとなり、毎回、何らかの議論が行われ、新たな誓約が行われてきた。

HIV/AIDS については、2005年のグレンイーグルズG8サミット、2006年のサンクト・ペテルブルグG8サミットで「2010年までのHIV/AIDS治療・ケア・予防への普遍的アクセスの実現」にG8がコミットすることが誓約されている。

一方、保健システム強化については、2007年のハイリゲンダム・サミットで、保健分野の中での主要課題という地位を初めて得た。また、妊産婦の健康改善については、リプロダクティブ・ヘルスを嫌う米国共和党政権の特殊な姿勢のため、適切な形で焦点化されてこなかった。子どもの死亡率削減についても同様である。

国際保健に取り組むNGOとしては、ミレニアム開発目標の中で進捗が遅れている保健分野について、毎年のG8で主要議題とするように働きかける必要がある。この働きかけに関しては、単にNGOとして政府に要求するだけでなく、NGOが連携できる様々なセクターに対して公式・非公式に働きかけ、実際に国際保健を議題とする決定が出るようにし向けていく必要がある。

また、HIV/AIDS・感染症に取り組むNGOとしては、新たな政策作りのプロセス途上にある母子保健や保健システム強化に加え、すでに政策や枠組みが形成され、G8でも一定の誓約が為されている感染症対策についても、どのように資金拠出を行い、具体的に誓約を履行するかについて、バランス良く取り上げるように要求していく必要がある。

22008年洞爺湖サミットの経験

  1. 「フォーラム」内に設置された保健・医療ワーキング・グループでは、外務省に対して、G8で国際保健を主要議題とするように要求した。
  2. 一方、G8議長国の市民社会に対しては、当該国が議長国を務める1年前から、国際保健を焦点化することに関心のある米国の民間財団や二国間援助機関などが何らかの接触をとってくることが通例である。保健・医療ワーキング・グループでは、こうした接触の場を活用し、それらの団体とパイプを形成すると共に、様々なセクターが全体として日本政府に対して国際保健を主要議題とするように働きかけるよう促した。
  3. 「フォーラム」以外の動きとして、国際保健を主要課題とする上できわめて大きな役割を果たしたのは、武見敬三・元厚生労働副大臣/外務政務次官を主査とする「国際保健の課題と日本の貢献」研究・対話プロジェクト(事務局:(財)日本国際交流センター)のワーキング・グループである。これにより、首脳・内閣レベルも含めたアドボカシーが可能となった。また、今回画期的だったのは、この検討委員会にNGOのメンバーが参加することができ、トップレベルのアドボカシーにNGOの主張を反映することが一定、可能になったことである。
  4. こうした動きによって、2007年11月、高村正彦・外務大臣が国際保健に関する政策演説
    (URL:http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/19/ekmr_1125.html
    を行い、「国際保健に関してG8が共有する行動指針を作る」ことが、洞爺湖サミットの目標の一つとして掲げられることになった。

3評価

上記のようなプロセスによって、「国際保健」が開発課題の中で最も焦点化される位置に躍り出たことで、国際保健を担うNGOはきわめて重要な機会を得た。

一方、国際保健には、母子保健、保健システム強化、感染症対策といった各種の要素が存在する。2007-8年は、これらの要素の間の何を重視するかということが、国際保健政策の面から激しく討議された時期であった。また、日本は、特定の疾病に対する直接的なアプローチよりも、保健システム強化などを中心とする全体的なアプローチを伝統的に好み、G8 において、こうした分野をより重点化して包括的な保健政策を策定していこうとする立場に立った。

ここにおいて重要であったのは、既に政策枠組みが形成され、誓約もなされ、これらの誓約が適切に履行されるかどうかが焦点となっている感染症・HIV/AIDS対策が、G8の政策討議の文脈においてモメンタムを失わないかということであった。この点について、保健医療ワーキング・グループでは、保健システム強化・母子保健・感染症対策の各分野に取り組むNGOがバランスをとって、感染症を含む国際保健セクター全体のスケールアップというところに政策要求を設定することができた。また、上記「武見ワーキング・グループ」においても、同様の立場が中心をなすことになった。これにより、感染症・HIV/AIDSが引き続き高い優先順位を得ることが出来たことも評価に値する。

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